昨今、SIerはグローバル化が進んでおり、各親企業がグローバル化により売上高の増加や収益の拡大を目論んでいます。
まあ、日本のマーケットだけでなく海外も、というのは至極当たり前なので、そうなるわな、という感じなのですが、今回はSIerでグローバルに働きたい、という人に向けて、情報を発信していきたいと思います。
SIerでグローバルに働きたいと思っている人って
どういうタイプが多いんですかね?
イメージは、
①国内から海外の顧客とメールなどをベースにしてやり取りを行う
②海外拠点へ海外出張で世界を飛び回りたい
③海外駐在し、現地でビジネスがしたい
というように、日本対応型、出張型、駐在型と、3つに分けれるかなと思います。
結論、SIerでグローバルに働こうと思ったとき、①のメールベース、②の出張ベースは割とある話なのですが、駐在のチャンスはものすごく少ない、という話になります。その背景を説明します。
駐在がほぼ必要のない状況
駐在員が必要なケースって、どういう場合だと思いますか?
・現地企業がこれまでやったことのない規模のビジネスをコントロールするとき
・新しく何かを立ち上げる時、日本の知見が必要な場合
というように、現地のオペレーション改善や、商流の拡大などを目的としており、こういった場合に駐在が必要になります。
そしてその大きな目標は
・そのプロジェクトやビジネスが、駐在員なしでも回るようになる状態を作り出すこと
です。
もちろん、駐在員は日本で普通に働くよりも多大な人件費がかかりますし、相当優れた人材でないと駐在させたのに意味がなかったね、みたいな話になりがちで難しい部分もあります。
そしてSIerではどうなのかというと、自分の感覚ですがSIerの駐在員というのはかなり少ないです。
理由を考えてみると、SIerのグローバル化の拡大は基本的に成長している企業の買収を行っているものであり、そこから新たに会社規模を拡大したり新しく何かを立ち上げるときには、買収した企業だけで成立してしまう場合がほとんどなのではないかと仮説を立てています。
つまり、SIerが買収しているような企業はある程度大きな企業で、そこの組織で親会社(買収元企業)が打ち出した要望(オペレーション改善や商流開拓)を達成することが可能であり、ある程度ビジネスの規模が大きくなったり、挑戦度が高い内容になると親会社の経営者レベルがCxOのポジションで入り目標達成に向かうことがほとんどだと。
こういう環境では、少なくとも40歳くらいかそれ以上の人材でないと駐在とはならないでしょう。
また、その場合に付帯して駐在することができる人もいるかもしれませんが、それでも数名です。
きっとグローバル志向のある方々は、海外現地でビジネスを作っていきたいと考えている人が多いのだと思いますが、SIerの本社メンバが海外現地でビジネスを作り出すのは、相当難易度が高いなと、実際に働いていて思いました。
そもそもビジネスは、現場で課題を見つけ、その解決策を考えていく一連の過程で生まれるのであって、海外現地で働くチャンスがないのであれば、海外でビジネスの創出を…なんていうのは不可能に近いです。
海外拠点を0から作ったりする場合、そこには必ず日本人駐在員が必要になってくると思うのですが、大手SIerは成長企業の買収メインなのでなかなかチャンスがないのが実態なのかなと。
海外調査にいって、いろいろな企業を視察してこい!みたいなことも、最近はほとんどの主要な国に子会社拠点があるので、その必要性もなくなってきているし、社員が思うグローバル化と企業が考えるグローバル化というものには乖離があるなというのが印象です。
就活生や転職者のグローバル志望者はよく確認を
もしも海外現地でどっぷり働きたい希望があるのであれば、各SIerに全体の中でどれくらいの割合の人が実際に駐在しているのか、また駐在員の中でもどういった部署の方が駐在している傾向にあるのか、それはなぜなのか。
ここまで企業の説明会などで聞けていると、実際に面接などでも論理的にアピールできると思いますし、なにより入社後のギャップを埋めることができます。
グローバルというキーワードに惹かれて入社したものの、入ってみると全然グローバルなチャンスがない…(この記事の冒頭の③にあたるチャンスがない)
なんていうことになってしまうとお互い残念ですからね。
SIer各社によって差はあると思いますが、良くて駐在員の割合は数%だと思います。
就職や転職する人で、グローバル志望の方はしっかり確認することをおすすめします。
ちなみにSIerの各子会社でグローバルに働くはほぼ無理
上記の理由で、Sier子会社の社員が海外で何かをする、という必要性ってほとんどないというのが、自分の考えです。
私もすべてのSIerや子会社を知っているわけではありませんが、これまで海外案件をこなした時や、海外出張に行く時など、現地にいる人はもれなく大手SIerの親会社の社員でした。
自分の推測と、経験則から言って、やはり子会社でグローバルに働きたい!というのは無理がある世界なのだろうなと思います。
親会社からしてみれば、子会社を設ける目的は連結利益による収益拡大です。そのためには、各拠点、すなわち子会社単位でできる限りやりきるようにしないと、リソース効率が悪くなります。そのため、難しい内容の場合のみ、親会社から人を送り込み、仕事を回るようにするということが駐在員の目的だということになります。
なので、グローバル志向が高まる昨今ですが、本当にグローバルに働きたいのであればまずは親会社に就職する努力をすることが先決です。チャンスがないところでいくら頑張っても報われません。当たりくじのないくじびきを引きまくっているようなものです。
当然、グローバル志向があるのであればTOEICは最低800。これは最低ラインです。
近年の学生はTOEICの平均スコアが高く、TOEICのスコアが低いだけで親会社にいたとしても海外駐在の選抜対象者にすらなりません。(40歳のマネージャ層などはこの限りではありませんが、若手はほぼTOEICの観点でチェックが入ります。)
グローバルに働きたいです、って言ってるのにTOEICの点数すらまともに取れないのは、結構残念ですよね。
最後に、SIerで海外駐在は割合として少ないのですが、決して無理な話ではないです。
各国に拠点があるのは事実ですし、働けるチャンスはあると思うのですが、それをつかめるのはほんの一握り。
海外案件の経験というものは転職市場などでは強力な武器になり、それだけで面接官惹きつけることが出来ます。
グローバルを志望している人であれば、個人的にはそのチャンスが多いフィールドを選んだ方が良くて、SIerであれば各社どれくらいの駐在率なのか、しっかり抑えた上で働くフィールドを決めるのが良いでしょう。
今回はこんなところで。それでは。
この記事へのコメントはありません。