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Sierがやばいとかやめとけと言われるオワコン説を元社員が解説

Sierの評判が年々下がっているような気がしますねー。
ということで、元Sierの自分がタイトルにあるような内容について語ってみたいと思います。

まずは、なぜ日本にだけSierという業種がたくさん存在しているのか、過去の背景から説明していきます。

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Sierが成立している過去背景

今はタイトルにあるような悪い言い方をされてしまうことがしばしばあるSier。
でも昔は、今の日本を支えるシステムを作るのに重要な役割を果たしていたのです。(もちろん、今も果たしていますよ。でも昔の方がより必要性が高かったのは事実。)

もともとはハードウェアからミドルウェアまで一括提供していた

1980年代(正確な時期は忘れたけど)には、有名なITベンダ(当時はIBMが最大)が、ベンダで用意しているハードウェアからミドルウェアを一括で提供して、そこにアプリケーションをのせていく、ということが一般的でした。
しかし時代が進むにつれて、技術は進化していきます。

様々な規格のハードウェア、ネットワーク機器。
発展した技術、DBで言えばオラクルなど。
仮想化技術。

これまで一括で提供されていたものよりも、これらを組み合わせてシステムを構築していく方が優位性が強くなり、これらを「組み合わせる」ということが必要になってきます。
とはいえ、これを各事業会社がそれぞれで対応するのは難しく、ここで「組み合わせる」ことを生業とするSier(システムインテグレーター)が登場することになります。

日本の大規模システムのほとんどはSierなしでは完成しなかった

Sierにより、多様化(複雑化)したシステムの要素を組み合わせ、各企業が必要としているシステムに応じて最適な組み合わせを実現してきました。
Sierなしでは、これまで日本を支えてきたシステムを完成することはできなかったと考えられ、Sierが日本に残した功績は大きいものがあります。
しかしこのままのSierビジネスモデルで良いかというと、それは中の人のほとんどが厳しいと考えており、現在は転換を求められています。

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現状のままでは発展できない

Sierは各事業会社のIT活用・システム開発を支援していくという立場ですから、ビジネスモデルを考えるときには事業会社の立場になって考える必要があります。
事業会社の立場で考えて見たとき、このままでは発展できない理由としては3つあげられます。

POINT

①事業会社のビジネス成長阻害
②SaaSなどのas a serviceによる各事業会社での開発量減少
③コード自動化技術の発展

ですね。一つずつ見ていきます。

①事業会社のビジネス成長阻害

これは以下の記事でも述べていますが、Sierは現在DX推進のための人材供給ポイントになろうとしています。

これまでの大きなシステム開発を断続的に受注するやり方では、もはや世の中の変化に対応し続けることが難しいというのは、どの企業の経営者でも分かっていることだと思います。
大切なのは、常にシステムを変化に対応させ、顧客に価値をもたらすということ。
これだけ世の中の変化が激しいと言っているのに、システムが変化しなくて良いわけがないでしょう。
そして顧客視点に立つと、そこは変化ばかりです。
ゆえに、他よりも良いものを他よりもどれだけ早くリリースしていけるかが大切になるのであって、Sierへの依存度が強すぎると、それこそが事業会社の成長阻害になりかねません。

本来は事業会社が単独で、IT部門の体制を厚くしていくことがベストですが、なかなか急に変えていくことが難しい。
また、全ての企業が経営者がちゃんと判断して、そのようなIT体制を設けることができるかというと、それも非現実的。
だからこそ、SierのDX人材共有ポイントの戦略はあながち間違っていないのでは、ということをこの記事で述べています。

②SaaSなどのas a serviceによる各事業会社での開発量減少

これまでいろいろな企業で、同じような機能を開発してきたりしていました。
しかし、「世の中にこういうサービスがあれば良いよね!」というものを、SaaSとして様々な企業が提供しています。
これらを柔軟に自社システムと接続して使用することは開発量の減少にもなりますし、冗長な開発も回避することができます。
そうなれば当然、それまでSierが請け負っていた開発量の総量というものは減少していきます。
工数ベースで見積もり、その分の金額を顧客から得ているので、売上の減少に直結することになってしまいます。
何かしらの対策を打ち出してかないと、SI事業だけでは立ち行かなくなることが予想できます。

③コード自動化技術の発展

これはまだ発展途上だけど、いずれは訪れる。そうなれば、②のSaaSの話と同様に開発量の総量が減少するところに行き着きます。
また、コード自動化を適用するために必要になってくることとして、自動化技術を各事業会社にどう適用していくのか、ということが挙げられます。
この適用する部分でSierの出番がありそうですが、Sierにとって継続可能なビジネスモデルにはならないと想定できます。
一度、開発自動化が可能な体制をその事業会社に整備してあげれば、あとはそれを維持するIT部隊の体制を構築できればOKですからね。
コード自動化適応のインテグレーションはあくまでも一時的なビジネスですので、後述するビジネスモデルへの転換が必要だと考えます。

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今後のSierの全体傾向は

①事業会社のビジネス成長阻害に対して

前述したとおり、DX人材の供給ポイントとなることが予想されます。
各事業会社のサービスデザインからそれをアジャイルで実現させていく、というのが一般的になると自分は考えています。

②SaaSによる各事業会社での開発量減少
開発量が減少するので、今のままの規模のSI事業が存続していけるとは思えない。

するとどうなるかというと、
低階層に位置するSI企業から経営が苦しくなる
ということが起こります。
Sierは階層構造化されているので、○次請けのSI企業は厳しくなるでしょうね。

ではどうなっていくかとういうと、生き残っていくためには各Sierも業界特化したソフトウェアの開発を行い、SaaSとして提供していく姿になっていくと思います。
しかし、おそらく従来のやり方ではSierがSaaSモデルでの成功を収めることが難しいです。
DXを推進していく時にも同様に重要になるのですが、顧客視点を起点にしてビジネスを考えていくことが必要です。

サービス中心からマーケットインの発想へ転換を

もちろん、各SierはこれまでもSaaSによる事業化かできないかを当然行っています。
例えば、ある案件でSI開発してきた内容を、より普遍的なものにして(よくパッケージ化なんて言ったりします)いくなど。
この時、Sierの戦略としては、まず自分たちのサービスが市場においてどのようなポジションなのかを、競合を並べた上で可視化し、どう勝負していくのかを考えるというものです。(=サービス中心の考え方)
これは日本のどのSierも得意にしているやり方ですが、このやり方ではみんながやっているためレッドオーシャンだから厳しい。
そして必要とされているのは顧客起点で考えるということです。
(これまでのSI事業は、顧客が提示した仕様をシステム化する仕事内容でしたが、そこへの依存度を下げていく必要があるということ)

○次請けのSI企業が危ない

そうなると、お客様と接点をあまり持ってこなかった○次受けSI企業が危なくなるのは至極当然の話です。
理由は簡単で、お客様との接点が少ない以上、マーケットインの発想が持てないからです。
プライムベンダ(お客様から直接発注を受けているSI企業)からの発注が減少してしまうし、製品開発もうまくいかないとなると、その企業の社員への報酬を減らさざるを得ないし、
また受注するためにこれまで以上に安い金額で請け負うことが想定されます。
これは社員にとっては地獄です。
だからこそ、Sierはやめておけとか、やばいなどと言われているのだと思います。

プライムベンダとなるSierであれば、SI事業規模が減少するとはいえまだ大丈夫だと思いますが、○次請けのSI企業は危ないと思いますね。
また、プライムベンダといえども、マーケットインの思想に切り替えて自分たちの事業をどうしていくのかを早期に打ち出していかないと、プライムベンダと言われる企業間での競争に負けるでしょう。
就活生や転職者は、ここらへんを各企業がどのように考えて実行にうつしているのかを注目してほしいです。

まとめると

POINT

・顧客視点を起点に、が大事。
・大規模システムを断続的に受注するのではなく、事業会社に入り込みDXを推進していく人材を投入するようになっていく
・もしくはSaaSなどの製品開発を行い、ヒット商品を出す

これらができないSierは、まさにオワコン状態となるでしょうね。
理由は簡単で、仕事が減る→収益ダウン→安く請け負うことが増加する→社員は多忙かつ薄給
という地獄ループです。

しかしながら、日本からSierがなくなることはないと思います。
すべての事業会社がSierなしでシステムを維持させたり機能させたりすることができている状態を想像するのが自分は難しいです。そんな急にみんな変化できない。
Sierに求めることは変わると思いますが、その需要は一定量あると考えます。
どの企業でもそうだと思いますが、変化にいち早く対応する。
これが重要ですね。

就職・転職先を選ぶにあたっては

これはどの業界でもそうなのですが、その業界の3番手くらいまでを狙うべきです。
資金力があればあるほど会社として人材に投資できるという話もあるし、会社の看板はやっぱり強い。
やりたいことがあるならガンガン使えます。
Sierも例外ではなく、業界3番手までの企業に入社するのがベスト。
止めておいたほうがよいのが、大手Sierの下請けでエンジニア募集!みたいなところ。
これは先ほども述べたように、会社として経営方針を大きく変える必要がありますが、それを判断するのは経営陣です。
新卒や中途採用された社員が判断してどうなるものではありません。(実際に顧客目線のビジネスをやっていきましょう!となったら、現場社員が主役ですが。)しかしそうなる保証はどこにもない。
また、がっつりエンジニアとしてキャリアを積んでいきたいのであれば自分は自社のプロダクト開発をしているような企業への就職か、上位Sierでプロダクト開発している部門を希望しての就職をおすすめします。

転職の際には、とにかくビズリーチに登録し、一定期間毎に自分の職歴をアップデートしましょう。
とりあえず他のエージェントは不要です。(ビズリーチに登録しておけばビズリーチ経由で他のエージェントからスカウトが来ますので。)

▼ビズリーチでスカウトを大量にもらう方法はこちらで解説しています。

今回はこんな感じです。なかなか言語化するのが難しかった内容でした。

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